ぶりとらぶ

おいおいパクリじゃん

おいおいパクリじゃん

「くっくっく……お望みとあれば、お前の心、壊してやるよ小川っ!」

歓迎するように両手を広げたかと思うと、カッターを彼女の首元に一閃。

小川は反応よく攻撃をかわし、距離を取っている。

彼女は信じられない、といった表情を浮かべ、浅く切られた頬の血を拭う。

緋影の口元には獰猛な笑みが浮かべられている。

言葉通り、この殺し合いを楽しむかのように。

彼のただならぬ気配を感じ取ったのか、小川は明らかに一瞬たじろいだ。

破壊衝動に駆られる今の緋影がその一瞬を見逃すはずもなく、彼女の体に走る『罅』を切り裂く。

特に力を込めるでもなく。ただ単に紙でも切るかのように。

すっ、と斬る。

彼女の肉体は、左肩からばっさりと切り裂かれ、ドン、と腕は地面に落ちた。

だが流れるべき夥しい鮮血が流れ出ない。それどころか彼女の腕は風化して砂のような物質に変化してしまった。

自分はこの力を知っている。

あの『罅』を切り裂けば、いかなる心も悲鳴をあげる。

 あの『心の歪み』を突けば、『思考』は霧散し、いかなるものも現界には存在出来なくなる。

 (心と体は不可分なのだ。心なくして存在できるものはこの世にはない)

 そう教えてくれたのは誰だったか。

自分は、この力を、知っている。遠い遠い昔、自分はこの力を発現させた。

心を壊す快楽。思考を破壊する絶対の力。

意識の深層に沈む表の緋影がぼんやりとそんな考えをする。

否、自分の意思はちゃんと自身の肉体に存在し、意思通りに動いている。

目の前の敵を、どす黒い『心の歪み』を殺す為に。

だが、何かが違う。

自分ではない、自分。

それがこの体を自分の意思に従って動かしている。

小川の返り血を浴びながら、

「これだよ……これだよっ!くくくっ!十数年ぶりか?この快楽は?くくくっ!」