日陰
日陰
悪態をつきながら早足で彼のもとに歩み寄る。
そして気配を悟られぬよう真後ろに回って、一呼吸。
スパーンッ!
という景気のいい音が彼の後頭部で鳴った。
女子高生は何が起こったのか把握しきれずに眼を瞬いている。
……手の平が少し痛い。
大竹は頭をかかえながらその場にしゃがみ込んでいる。
「……あ〜、こいつが迷惑かけたようだ。あとは俺にまかせてくれ」
それだけを短く彼女達に告げて、大竹の太い腕を取る。
半ば引き摺るようにして歩き出した自分達の背中を、彼女達の不可思議なものを見るような白い視線が突き刺さった。
二人の叫びがこだまする。
「何しやがるっ!どうして俺の頭をぶっ叩くんだよっ!」
「馬鹿言うなっ!下手すりゃ警察呼ばれてたぞっ!一番後ろにいた子がポケットの携帯に手をかけてたの見えなかったのかっ?!」
大竹は眼を丸くして、え?という表情をしている。
「……やっぱ気付いてなかったか。かなりやばかったぞ」
それでもなお彼は食い下がる。
「……にしても叩かなくてもいいだろっ!もっとやりようが……」
「即座に行動を起こさないと彼女達に何されるかわからん。ガタイのいい男二人に、か弱い女子高生三人ならどっちが悪者に見える?」