夕方
夕方
以前から思っていたことなのだが、大竹はどうも自分から小川を遠ざけようとしているように見える。
「俺ってそんないい奴だったか?」
「茶化すな。真剣な話だ」
大竹は珍しく何かに迷っているようだ。
彼女のことについて何かを言うべきか、言わないべきかを。
歩き続けること数分。やっと彼は口を開いた。
「……お前も、あいつも悪い訳じゃねえ」
「それは昨日聞いた」
「……ただ、あいつはお前のことを深く理解している、と俺は見ている。多分、お前以上に。だから、駄目なんだ。これ以上は言えねえ」
大竹は話題を変えようとしたのだろう、今度は自分に、
「そういうお前こそどうして小川を捜そうとしてんだ?」
彼女を捜す理由を尋ねてきた。
一つは大竹が補導されるとマズイからだ。
そして。
脳裏に過ぎるのは声をかけても反応しない虚ろな彼女の様子。
「昨日の夕方まで俺は彼女を見ているんだ。訳ありで彼女を追えなかったが……」
一旦切り、慎重に言葉を選ぶ。
「……だから、少々気になる。どうも嫌な予感がしてな」
それきり緋影も、大竹も何も言わなくなった。
そんな二人を見つめているのは赤い夕日。
どこまでも孤独で。
星の間を彷徨う漂流者。
重なる二つの青年の影は、何を思うのか。
それは夕日も知らない。